「この胸の痛みは、愛しさだった」
Vaundyの『pained』は、
痛みと向き合ったときにこそ見える愛の本質を描いた一曲です。
この記事では、歌詞の一節ごとに情景と感情を読み解きながら、
「間違っていた」と気づく瞬間の切なさと、それを肯定へ変える力を紐解いていきます。
『pained』Aメロ①:別れと痛みのはじまり
その一振りが空に一つ増やした 博打だと雛は言う 「この羽が小さく生まれようとも」 口、開けた雛は言う その寿命から 安らかな痛味するんだ
ここでは「別れの瞬間」が比喩的に描かれています。
「一振りが空に増やした」=何かを断ち切るような決断。
「雛」というモチーフは、まだ未熟な存在ながらも覚悟をもって言葉を発する姿を象徴しています。
“寿命から安らかな痛味を得る”という表現は、死ではなく別れを受け入れる覚悟を意味します。
『pained』Bメロ:決別の痛みと誤解
さらば 決別だ pain 記憶の海に消えてくれよ なぁ 君は正しいよ pain でもこの胸の痛みは愛しさからさ
別れに対する諦めと、それでも残る「痛み」の意味を語るパート。
「君は正しい」=相手の決断を受け入れているが、
その痛みが「愛しさ」から来ていると自覚する点が非常に重要です。
この曲の核心がここにあります。
『pained』サビ①:すれ違いの実感と苦しみ
間違っていたんだよ 思い違っていたんだよ 胸が痛い理由はさ
繰り返されるこのフレーズは、誤解やすれ違いが痛みを生んだことに気づいた主人公の叫び。
自己反省と同時に、もう取り戻せない関係への悔しさも滲んでいます。
『pained』Aメロ②:心を蝕む言葉とその意味
その一口が 心を蝕んでた これが強さだと雛は言う 「その器が大きく生まれようとも」 口、開けた雛に言う その強欲から 安らかな痛味するんだ
前半と構造をなぞるこのパートでは、「強さ」と「欲望」がテーマになっています。
自分の欲で相手を傷つけた後悔、それでも相手は強くあろうとした。
この対比が、別れの背景にある感情の複雑さを深めています。
『pained』サビ②:愛しさの本質にたどり着く
これで決別だ pain 記憶の海に消えてくれよ なぁ 君を思い出すよ pain きっとこの胸の痛みは愛しさからさ
再度語られる「pain」の正体。それは失って初めてわかる深い愛情の残り火。
別れという“喪失”から、愛の実感へと転化する流れが、聴き手の感情を強く揺さぶります。
まとめ|痛みは、愛しさの証明だった
Vaundy『pained』は、別れの中で気づく「痛み=愛しさ」という構造を詩的に描いた楽曲です。
繰り返される「間違っていたんだよ」という言葉には、後悔と同時に希望も含まれているように感じます。
痛みは終わりではなく、その関係が本物だった証明なのかもしれません。